忠臣蔵、赤穂浪士討ち入りの原因となった松の廊下での刃傷沙汰に至る過程を克明に描いた・・・フィクション。
すごく面白かった。
フィクションではあるけれど、実際ものごとはこんな感じに、双方に背景があるものだろう、その意味でリアリティが高い。
いちばんリアリティが薄いのは、主人公たる与惣兵衛さんの聖人のごときキャラクターかもしれない。
もっとも、初めは双方が悪くないという気持ちで読めていたけれど、だんだん浅野内匠頭が気の毒すぎるし、お怒りごもっとも。吉良上野介は刺されてもしゃあないだろ…と私は傾いてしまった。とはいえ、殿中での刃傷沙汰に至る直接の動機はなんだか弱い気がした。もっと別に、刺されててもおかしくなかった場面はいくらもあったけれど。
昼行燈の大石は最後にちらっと出てきて、さすが昼行燈と納得した。役立たずやな・・・
ともかく、エンタメとしてとても楽しめる本だった。