ロビン・フッドは名前だけ、それ以外にほとんど何も知らず、なんならウィリアム・テルと混同していた。
ということは、弓の名人というイメージは何となくあったのかも・・・?
なので、この本が「ロビン・フッドの原作」なのか、「伝説を物語にした本」なのか・・・ということも分からないまま読みはじめたが、この疑問については、後ろについている解説によって、後者が正しいことは分かった。
かなり梁山泊っぽい感じがあるのは興味深い。
中世の話である割に、(騎士道と同時に)意外と現代的な倫理観が通用しているのも面白い。義賊ロビン・フッドは、人殺しをしない。不正な金持ちから奪い、正直な庶民には優しい。それで100人以上の人間をゆうに養っているというのは、不正な金持ちがどんだけ多かったんだろう。食糧は鹿の密猟でほぼ賄えてたんだろうか。読んでると、鹿肉とエールがすごく美味しそうに感じる。私はお酒は飲まないからエールには惹かれないが、「炙った鹿肉」は食べてみたい・・・。
それと、何度も腕比べの場面が出てくるけど、ロビンは無敵じゃなくけっこう負けてるし、一人の敵に対して仲間の援軍を呼んで助けられたりしてて、それも良いな。まぁ弓に関しては無敵だけれど。
繰り返し、「陽気な」という形容詞が使われ、男たちは大笑いするのだけど、自国のノスタルジーの中にそういうイメージがあるのって良いなあ。実際にはみんなそんなに楽しく愉快に暮らしてたわけではなく、後世に作られたイメージだろう。ということは、我が国だってそういったイメージを民族的に「今後」抱くことだってできるんじゃないかな、過去の時代を魅力的に描き出す、スケールの大きな不世出の国民文学者が出てきたりすれば!