vol.3

(このサイトは、2022年8月に作成したものなので、この記事はそれ以降に書いたものです)


この日も発声練習に特化したレッスンだった。
前回に引き続き、非常に細かく止められては、とにかく響きをキープせよ、ということを言われた。

この時点での課題は、母音だけで歌った場合に音程によって発声が全然変わってしまうことで、さんざん直されながら繰り返した挙げ句
「ダメだ、まだ無理だな」
と言われてしまった。
先月から頑張って練習してきただけにガッカリだが、単に数をこなせばできるようになるわけではなく、どうしても質的な変化が必要なのだ。

自分の記憶の中でも、この時期は師匠の言われる「下顎」への意識がおかしかったと思う。しかし録音を聞き直してみると、当時の自分の「どうすればいいのかわからない」苦悩がありありと伝わってくるというか思い出されるというか…。

ふと、オクターブのポルタメントの練習中。
師匠の見解として
いま低音はギリギリCisまでは歌える、それより下は声帯のサイズの制限で、出るようになるかどうわからないが、Cが「漂う」くらいになればよい。

「そんな低音は出せなくていいです、私はdiv.で自分のパートがちゃんと歌えればいいので。Cとかはほぼバスとユニゾンだから私は歌わなくていいです…」

今まで伝えるチャンスのなかった自分の目的を言ってみたものの、冗談と思われたらしく、笑いながら

「声楽としてはそれでは困るよ」

あっさり却下。
え、でも出るようになるか分からないんですよね💦

…まぁ本来が声楽教室、合唱のdiv.だけを教えるとかはないやな😅

この回から、低音側よりも高音側のアタックが厳しくなっていて
「最初は低音から作っていこうと思ってたんだけど、声を聞いてみて、上の音域から安定させていくことに方針を変更した」
こんな話も出てきた。
これを書いている時点(=半年後)で振り返ると、その変更は幸運だったと思う。低音からだと永遠に先に進まなかった気がする。